モデレーター

坊垣 佳奈
株式会社マクアケ共同創業者/取締役
マクアケの創業当初から関わり、キュレーターと広報マーケティングチームを統括

 

登壇者

本田 彩夏
株式会社三越伊勢丹デジタル事業部 アームインアーム バイヤー
三越伊勢丹デジタル・ネイティブ・ブランド「arm in arm」の商品企画を担当

原 怜子
株式会社三越伊勢丹 デジタル事業部arm in arm 営業部 デジタルマーケティング担当
三越伊勢丹デジタル・ネイティブ・ブランド「arm in arm」の販売促進を担当

若尾 真実
シタテル株式会社 sitateru WEARE編集⻑
「sitateru WEARE」の編集長、様々な企業への取材やイベント開催を行う
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ファッション業界における現状

坊垣:まず、前段としてファッション業界におけるサステナビリティの現状を少し見ていきたいと思います。サステナブルや、エシカル、SDGsなどの関連ワードを聞く機会がすごく増えたと思いますが、ちゃんと説明できる人はなかなかいないかもしれません。

 実は、日本のファッション業界の変遷は欧米と比べると10年遅れています。そんな中で、世の中の流れにいち早く対応した企業が誕生し、その代表例として本日は2つの企業をお呼びしました。

サステナブルな取り組みは、ハイブランドでも加速していて、「毛皮を使用しない」「廃棄を作らない」と正式に発表するなど、ものづくりの基本的な考え方から変化するような動きが出てきています。また、ファストファッションで売れ残った商品をハイブランドが作り直して、ハイブランドとして販売されるという象徴的な事例も出てきました。

この流れは世界で非常に進んでいる流れですが、エシカル、廃棄問題、作る過程での環境汚染という課題の中で、企業がどのような課題を解決しているのかは、実は消費者には理解されていないという現状ではないかと思います。

なぜ、サステナブルが注目されているのか?

坊垣:ファッション業界全体で、特にサステナブルというワードが叫ばれている理由の1つに、「廃棄問題」があります。生産されている洋服の5~6割が一度も着られずに処分され、日本国内だけでも10億着が新品のまま廃棄されているといわれています。廃棄の割合は年々増加しており、数字として可視化されたことによって、より強く問題意識が広がりました。

ファッション業界は流行り廃りがある(トレンド予測が難しい)ので、博打的に商品を企画しなければ行けなく、その結果大量の在庫を抱えてしまうという問題があります。

まさにその、企画段階の課題解決に取り組んでいるのが、『arm in arm』ですね。ユーザーニーズに合わせて商品企画をすることで、ニーズの合わない商品を無駄に作ることを防いでいます。今回、3社(マクアケ、arm in arm、シタテル)がそれぞれの力を持ち寄って取り組んでいることが受注販売です。

持続可能なファッションを実現するための各社の取り組み

坊垣:マクアケでは、企画を先行発表し購入希望数に合わせて生産・販売をすることが可能です。これが実現できる理由は、お届けする時期がズレることを事前にお知らせしているからです。マクアケのユーザーには「時間がかかってもいいから欲しい」というお気持ちのもと、応援購入をしていただいています。
今回、3社が協力することで『arm in arm』のマクアケでのプロジェクトが実現しました。受注生産することで、廃棄問題に向き合った企画になっていると思います。本田さんと原さんが、今日着てきていただいているワンピースもその企画のものですね。

本田:まずは『arm in arm』が何をしているかご説明します。1つは、既製品に対する不満やお悩みを持っている多くのお客様の声を拾い、お客様と一緒により良い商品を作る取り組みをしています。

坊垣:なるほど。お客様の声はどのように拾い上げているのですか?

本田:商品企画の前段階に、顧客との接点を新たに作っており、インスタグラム内でお悩みなどの質問を投げかけたり、対面での座談会を開催して、お悩みや不満をたくさん出してもらい、それに対して解決できる方法を我々が提案しています。

坊垣;消費者参加型や巻き込み型というワードはここ10年くらいで出てきた言葉だと思いますが、それを商品開発に生かしているどころか、お客様から上がった声を元に企画した商品しか作らないということですか?

本田:そうですね。100%お客様の声を生かしています。

坊垣:なるほど、ありがとうございます。『arm in arm』自体は、伊勢丹の独自ブランド展開なので、伊勢丹全体のサステナブルな取り組みについてもお伺いしても良いでしょうか?

原:三越伊勢丹グループは、SDGsやサステナブルに対して重点取り組みとして2つ掲げています。1つは、”人と地域をつなぐ”というところで、各地の産業や自治体と協力して、学生と一緒に廃棄されるデニムをリサイクルする『STUDENT DENIM REMAKE』という企画を行なっています。もう1つは、”持続可能な社会と時代をつなぐ”というテーマで、古くなった衣料を回収してリサイクルをするキャンペーンを行なっています。

坊垣:社内でのサステナブルに対する意識改革は進んでいます?

原:実は、弊社は昔からサステナブルを自然に持続可能にやっていこうという取り組みを行なっています。

坊垣:その取り組みはいつから行なっていますか?

原:恐らく、10年くらい前からありますね。我々は小売業なので、自分たちで産業改革ができる訳ではないので、サステナブルを意識して取り組んでいる企業をピックアップして、クローズアップしています。サステナブル推進委員会が社内にあり、全社的に色々な店舗で取り組みがされている状況です。

坊垣:百貨店全体の空気感はどうですか?伊勢丹が進んでいるのか、百貨店全体がサステナブルに対する意識が高まっているのでしょうか?

原:今はどこもそういう意識です。やはり海外がとても進んでいて、百貨店はいち早く海外のメゾンやラグジュアリーブランドと接点を持っているので、意識せざる負えない状況ではあるのかなと思います。

坊垣:それを牽引していく存在が伊勢丹かもしれませんね。

本田:まだまだ試行錯誤の段階ですが、『arm in arm』での取り組みについてもお話ししたいと思います。まずは、オンライン上でのビックデータを活用した商品開発です。トレンド予測の難しさが大量廃棄を生み出しているというお話しがありましたが、検索のビックデータから需要予測に繋げて商品を作ることで廃棄を減らす取り組をしています。例えば、1つのアイテムに紐づいて検索されている商品をデータから紐解き、その結果がお客様のお悩みとリンクしているというデータを見つけて商品開発に繋がった事例があります。

2つめは、オンライン上でのコミュニケーションからの需要予測です。ブランドのインスタグラムからリアルなお客様の声を聴きながら商品企画に落とし込んで、全商品に反映させてます。3つめは、デジタルを活用した不要なサンプルの削減です。商品製作の過程の中で、修正が入るごとにサンプルを作成する無駄なものが出来てしまいます。オンライン上で完結させることで、サンプルを作らずに製品化することが可能になりました。

坊垣:オンライン上でサンプルを作れるから実物を作らなくても良いということですか?

本田:はい。洋服を作るにはパーツごとに分けて作るのですが、そのパターンデータがオンラインに保存されているので、縫わなくても3D画面になってしまうという仕組みです。

坊垣:インターネットの発達と活用の拡大で実現できているモノづくりですね。

本田:そうですね。オンラインで販売をするだけではなくて、作るところからうまく活用しています。