僕らの想像を超えるようなスタイルが生まれる瞬間を目撃したい

ファッションと一口に言っても、ランウェイ・コレクションを中心に据えたモード・ファッションや、様々なカルチャーと連結したストリート・ファッションをはじめとして、様々な文脈が存在する。2018年の大きな潮流として、そうした「文脈」同士の境は揺らぎ、相互に関わり合いながら新たなスタイルが日々生み出されている。

その最たる象徴が「ルイ・ヴィトン」のディレクターに「ヴァージル・アブロー」が採用されたことだろう。ストリートとラグジュアリーという、本来水と油のような両者が歩み寄りつつあるのだ。「シュプリーム」と「ルイ・ヴィトン」のコラボレーションも記憶に新しく、グローバル市場においてファッションブランドとして最も評価されているのは、「ナイキ」。「バレンシアガ」の提案するスニーカーが隆盛を極めていることなど、枚挙にいとまがない。ミクスチャーは全世界的な流れだ。

「バーニーズ ニューヨーク」が手がけるハイラインコレクションは、そんな大きな流れの中において独自の支流として進化を遂げている。

ハイファッション、ハイテクノロジー、ハイクオリティという三つのキーワードを軸に、バーニーズらしい大人のカジュアルスタイルを提案するコレクションで、旬のブランドとのコラボレーションなどを含む独自の商品開発を行う。

例えば、テクノロジーもキーワードの一つになっていますが、その要素をデザインに強く反映させてもダメなんです。クラシックでありながら新しいというバランスが大切で、日常的に使用するイメージのできるアイテムを、あらゆる側面にこだわりながらつくっています」

ディレクターの中箸氏は、ハイラインコレクションについてそう語る。「バーニーズ ニューヨーク」におけるオリジナルラインとしての位置付けだけでなく、「sulvam(サルバム)」や「DRESSEDUNDRESSED(ドレスドアンドレスド)」など旬のブランドとの協働もポイント。流行に則りながらあくまでシンプルで上質なアイテムラインナップは、前述の言葉を裏付けている。

「バーニーズ ニューヨークには、30〜40代を中心として服飾を愛する大人のお客様が足を運んでくださいます。顧客の皆様は納得していただければ高価なアイテムを購入することにもためらいません。だからこそ、顔の見えるお客様にご満足いただけるような提案が必要になります。

目の肥えた大人のお客様だからこそ、こちらの提案も一筋縄にはいきませんが、ブランドの皆様にも多大なるご協力をいただいた本企画は、顧客様に限らず広くご好評をいただいております。嬉しい限りですね。」(中箸氏)

世界中を飛び回りバイヤーとして活躍した後、ディレクターに就任した中箸さんだからこそ、ファッション業界の内外で評判を集める、針に糸を通すようなコレクションを手がけることができるのだろう。ファッションの未来について尋ねると、こんな返答が。

「僕らの想像を超えるようなスタイルが生まれる瞬間を目撃したいです。ディレクターとして未来の洋服を見たいし、その未来の洋服が象徴するライフスタイルを知りたい。リアリティのある未来について言えば、2020年に向けてスポーツというキーワードは避けて通れないと思います。

テクノロジー自体をデザインとして取り入れるようなスタイルはまだ一般的ではありませんが、例えば海外で流行っているスポーツ・スタイルが、日本の市場やニーズに適した形でテクノロジーと関わり合いながら一層伸びてゆくことは十分にあります。

個人的には、ナイキとのコラボレーションでも話題を集めた「ALYX(アリクス)」というブランドに注目していて、今後一層人気が出てくると見ていますし、店頭でもかなり評判ですね」(中箸氏)

誰しもリッチになりたい、ラグジュアリーなものに惹かれるという気持ちは必ずあります

見逃せないトピックとして、「ハイラインコレクション」において、2018年サマーシーズンにニューヨーク在住のクリエイティブディレクターJayPerry(ジェイ・ペリー)とsitateruとのトリプルコラボレーションが実施された。

sitateruのネットワークを用いて生産し、ローンチ時にはTRUNK(HOTEL)でのパーティを実施。その盛り上がりは特に凄まじかった。

「今回、「Late 80’s Miami」というテーマのもとレイドバックしたムードを出すために、生産には非常に気を遣いました。sitateruさんは難しいオーダーにも応えてくれて、非常に満足のいく出来になったと思います。様々な人が足を運んでくれて、パーティも終始満員でしたね」(中箸氏)

 

様々なカルチャーと接続しながら、その濃度を高めてゆくハイラインコレクション。次シーズンにリリースされる新作群は、「CHRISTIAN DADA(クリスチャンダダ)」との共作によるスカジャンや、レザーグッズなど、ラグジュアリーストリートのムードを漂わせる見逃せないアイテム揃い。

「誰しもリッチになりたい、ラグジュアリーなものに惹かれるという気持ちは必ずあります。コレクションブランドが形作った権威やショーというシステムはやはり強固で、そうしたリッチなファッションのベクトルにサブカルチャーを繋いでゆくことが一つの役目かもしれない、と考えています。

様々な方面にアンテナを張り、レベルアップしながら、顧客の皆様にはもちろん、世界中で広く提案していけたら」(中箸氏)

ルーツを超え、国境を越え、「バーニーズ ニューヨーク」の核となるラグジュアリーからブレずにファッションの新陳代謝を推し進める。「ハイラインコレクション」は大人の選択肢の一つとして外せないものになりそうだ。