「サイボウズ式」は、働く人々に向けた独自の企画・コンテンツで、多くの読者が訪れるメディアとして、メディア業界でもよく知られる存在だ。昨年からは、読者との双方向的なコミュニケーションによって、よりよいコンテンツを作っていきたいと、オフラインでのミートアップなどを積極的に行うようになった。さらに、「第2編集部」というコアなコミュニティをつくり、読者だった方々に企画や編集に参加してもらう仕組みを作った。

毎月平日の夜に「集い」という定例ミーティングを開催。熱量のある人30名ほどに個別に声をかけ、2018年6月に「第2編集部」が発足した。オフラインでのコミュニケーションもありながら、常にkintoneでオンラインのやりとりをしている。

kintoneは、サイボウズが提供する代表的なグループウェアサービス。チームでのコミュニケーションに加え、ファイル共有や画像の保存などができる、第2編集部を発足したのは、単に「サイボウズ式」を盛り上げるためだけではない。サイボウズ式の藤村能光編集長はこう話す。

「サイボウズは、グループウェアの会社として、『チームワーク溢れる社会を創る』というミッションを掲げています。この第2編集部は、コミュニティという新しいチームが生まれる場になるという、ある意味での実験をしている感覚です。コミュニティのみんなでディスカッションしたことが、プロジェクトになり、チームが1つの目的になって走っていく。そのコミュニケーションをグループウェアで実現できたらと思っているんです」(サイボウズ式 藤村編集長)

働く企業もバックグラウンドもばらばらのチームで、どのようにコミットメントを高めているのだろうか。サイボウズ式編集チームには正社員が6名。そこに、長期インターン生が4名働いている。記事編集やイベント企画で精力的に仕事をしている。インターンとして働く鈴木健斗さんは、今回のTシャツ政策プロジェクトで中心的役割を担った一人だ。

「サイボウズ式では、多様性を重視しているという風潮もあって、これまであえてチームウエアを作ってきませんでした。ただ、外部のイベントに参加したとき、他の企業がおそろいTシャツを着ているのを見て一体感を感じて。また、第2編集部ができて、社外のメンバーとも団結を体感できるように、みんなで着れるものをつくろうという話になりました。そこで、私たちインターンが中心となって、Tシャツをつくることになりました」(鈴木さん)

はじめは、様々な他社のTシャツを調べたりもしたが、普段着でも着れるものを意識した結果、ポケットTシャツにネームタグをつけた、シンプルなデザインに落ち着いた。社外の方々も着やすいよう、サイボウズとしての主張はあまり強くせず、シンプルにしてあえて余白をつくった。また、繰り返し着ることができるように、ヘビーウエイトの厚い生地にこだわった。


「企業の情報発信は、”ストーリーテリング”が大事だと思います。ひとつのプロダクトができたらそれで終わりではなく、完成までのプロセスにも意味がある。インターンチームにTシャツを作ってもらう過程や、シタテルというプラットフォームでつくることもストーリーですよね。それを発信し、つくった人たちが、着る人たちに話せるのが大事です」(藤村編集長)

第二編集部の方々と、実際に着て撮った写真からは、チームの一体感や仲の良さがひしひしと伝わってきた。

「個性が強いチームだからこそ、統一感が出て良かったです。これまでも言葉でのコミュニケーションで仲良くはなっていましたが、みんなで着てみて初めて、同じ服を着ているというチーム感を感じました」(鈴木さん)

オンラインでのコミュニケーションと、オフラインでの非言語コミュニケーション。どちらかだけではなくどちらもあるからこそ、バックグラウンドや働く場所がバラバラでも良いチームワークが生まれプロジェクトが進んでいく。インターネット時代の、チームワークのひとつの正解が見えた気がした。