日本橋のメイン交差点に、新しいアンテナショップがオープンした。これまで、ホテルCLASKA(目黒)などを手がけてきたUDS株式会社が企画・運営する、滋賀県のアンテナショップ「ここ滋賀」だ。県を象徴する”琵琶湖”だけではない様々な魅力を伝えていくために、ショップとレストラン、そしてスタッフによるストーリーテリングによって立体的に滋賀を味わうことができる場所になっている。

ここからひろがる、滋賀のストーリー

ここ滋賀は、滋賀県産のものを売る場所ということではなく、地域へ人が集まり活性化していくまでを描いた本質的な「地域の窓口」となることを目指している。1階がマーケット、2階がレストランとなっている。マーケットでは、滋賀県産の旬の野菜や近江牛の加工食品、びわ湖パールなどを販売している。

また、1階には地酒やおつまみを提供するスタンドバー「SHIGA’s BAR」も併設。県内33の蔵元の地酒を飲み比べする地酒巡りマップもあり、スタッフの説明を聞きながら様々な日本酒を味わえる。

2階のダイニングレストラン「滋の味」は、鱒ずしなどの発酵食品や近江牛などを使用して、同点ならではの”編集”を施して提供する。家具には県の木材を用いたり、県で親しまれている植物「ヨシ」をモチーフにしていたりと、空間からも滋賀が楽しめるこだわりの設計だ。

ひとりひとりが県の魅力を伝える「語りべ」

ショップのスタッフは、常にお客さんとコミュニケーションを取りながら、商品の裏側にあるストーリー、知られていない県の魅力や、観光情報などを伝えるコンシェルジュの役割を担っている。

「ショップを作るにあたって出会った滋賀の方々は、とにかく県の魅力を惜しみなく語ってくれる人ばかりでした。その思いをきちんと引き継ぎたくて、サービスコンセプトを「語りべ」と位置づけました。スタッフは、滋賀出身や滋賀に関わったことのある方など、なにかしら縁(ゆかり)のある人を採用しています。」

と、ここ滋賀の竹岡さんは話す。

そんな「語りべ」たちのために、誇りを持って働いてもらえるようなこだわりのユニフォームをオリジナルで制作した。質感のある深いブルーのコートのアクセントになっているのが、このシェルボタン。実は、大津にある神保真珠商店で「びわ湖パール」生産時に本来捨てられてしまう貝殻でできている。

「空間の素材もこだわっているので、ユニフォームにも滋賀の素材は使いたいと思っていました。働く人が気分良く働くために、制服は重要ですよね。それに、かっこいい制服をつくると、そのしつらえに合うひとが応募してくれる気がします。」(竹岡さん)

空間も情報発信も料理もすべて「編集」

この場所のゴールは、滋賀の魅力を知ってもらい、最終的には実際に足を運んでもらうこと。そのために、旬の観光情報を伝えるコンシェルジュがいたり、イベントを行ったり、UIJターンで移住や就職の情報などを相談できる窓口もある。

「本当に魅力を伝えていくために重要なのは、どう切り口をいれていくかだと思っています。例えば、レストランの「発酵」というテーマにしてもそう。郷土料理に「編集」という作業を施すことで、東京の人が楽しめる切り口になります。ただのアンテナショップではなく、働いている人が自分なりに情報発信していくことで、他ではできない体験ができる場所にしたいです」

今日もここでは、滋賀の語りべたちが、琵琶湖の深い青にパール貝のボタンが光るコートを着て、笑顔で滋賀の魅力を語ってくれる。そして今日もここから、日本橋を行き交う人々の滋賀のストーリーがはじまっている。