メンテナンスも隠さず見せていく

地域に溶け込んで、地域に愛されるサービスになっていきたい。だからこそ、運営に関わるクルーにも、街で見かけて「あ、メルチャリの人だ!」「この自転車が壊れていて…」などと親しく関わってもらいたい。

メルチャリのプロデューサー・横田結さんはこう話す。

「普通のサービスであれば、メンテナンスは隠すもの、運営クルーは”黒子”というイメージかもしれません。でもメルチャリでは、働いている人の姿が見えるようにしています。またお客さまにも、空気を入れてもらったり、壊れている部分があったら教えてもらう、ポート(専用自転車置場)のオーナーになっていただくなど、運営への参加を楽しめる仕掛けをつくろうと考えています」

そんな思いから、クルー用に「メルチャリ」のイメージカラーである赤色のユニフォームを作ることに。福岡市での展開にあたり自転車の再配置やメンテナンスを担当する提携先は、西鉄運輸(福岡市)。クルーが普段の仕事着の上から簡単に着られることを意識して、アイテムはビブスにした。

「提携先の運送会社の方々は、専属でメルチャリのお仕事をしているわけではありません。また、今後様々な地域に事業展開していく際には、その地域ごとに地場の運送業者さんと提携するということも考えています。そのため、汎用性が高く、自由度も奪わない、けれどパッと見てメルチャリの運営クルーだということが分かる目印が必要でした。」(横田さん)

みんなでつくる公共交通への挑戦

メルチャリは、メルカリのアカウントさえ持っていれば、スマホひとつで貸し借りが完了するという仕組み。

自転車の鍵部分についているQRコードをアプリで読み込むだけで、鍵が解錠され自転車を借りることができる。メルチャリのポートであればどこでも乗り捨て可能で、アカウントに登録しているクレジットカード等で決済まで完了するシステムだ。

メルチャリアプリ上では、利用者はどこに自転車があるかが地図で見られたり、自分の「ライド」(乗車)した距離を確認できる。壊れた自転車の報告やポート外に駐輪された自転車をポート内へ移動させると「お手伝い」としてポイントが貯まる仕組みになっている。

「ライド」や「お手伝い」はマイルとして、乗車支払い等に使えたりするのだ。また、現状ポートは運営側が用意した場所だが、今後は店先の余剰スペースや家の軒先など、様々なポート場所提供者を増やし、あらゆるところにポートが生まれていく予定だ。

このように、テクノロジーによりサービス共創の幅がぐっと拡げられている。

「地域のコミュニティと一緒に創り上げていき、皆で健全化していく。メルチャリは、日常に愛される公共インフラとして、みんなのものでありたいですね。」(横田さん)

移動がもっと自由になればクリエイティビティ溢れる世界に

今回、メルカリがあえてオフラインの要素が強いシェアサイクルに踏み込んだことには、メルカリと生活者がよりフィジカルに接点を持ち、日常に寄っていくという狙いがある。

CtoCという共同運用のシステムづくりのノウハウを活かし、日常をより便利にしていくことができる。

「電車に乗る前や降りた後の”二次交通”ってまだまだ便利になる余地があると思うんです。家と銭湯とか、幼稚園とスーパーとか、街を横断する交通って意外と不便。個がエンパワーメントされる時代。

力を持った個々が集まって、私たちの移動がもっと自由になっていったら、クリエイティビティ溢れるアクティブな生活ができるのではと思っています。

小さな社会がいっぱいできていって、それぞれのコミュニティで自分たちの交通インフラが補完されていけば、無駄のない社会になる。そういう未来を見据えた、新しいサービスの形がつくれたらと思っています。」(横田さん)