ファッションはロボットに社会的役割を与える

 先月、ファッションの街とも言える渋谷で、史上初のロボットファッションショー「ロボコレ2018」が行われた。ロボットに服を着せると聞くと、はじめはスマホケースのように個人の趣味嗜好に合わせたカスタマイズのように思えるかもしれない。

 しかし、ロボットにとっての服は、全く別の意味を持っているということを認識させられる。次々とランウェイに登場するロボットたちが着ているのは、それぞれ自分の活躍する場所やシーンに合わせたユニフォームや衣装。病院の看護服、幼稚園の制服、コンシェルジュのジャケット…服を着せることで、一瞬で彼らの肩書きが分かる。

 主催したのは、ロボット用アパレルブランド「ROBO-UNI」。シャープのロボホンやソフトバンクロボティクスのPepperなど、様々なロボットの公式衣装を企画開発・製造まで手がける世界初と言われるロボット専用のアパレルメーカーRocket Road株式会社のブランドだ。

「ロボットが量産化されて世の中にでてきたとき、子供にもお年寄りにも、そのロボットが何者なのかを一目で分かるようにするもの、それが衣服です」

 Rocket Road株式会社の代表・泉 幸典氏は話す。そう、ロボットにとってファッションは、決して趣味嗜好の話ではなく、彼らが社会の中に溶け込むためにとても重要なエレメントなのだ。

身体性を持ちながらも「暑い」「苦しい」とは言えない

「ROBO-UNI」のオンラインストアを覗いてみると、人間の服の一般的な価格と比べて何倍もすることに、少し驚く方もいるかもしれない。センシティブなロボットに服を着せるということには、様々なリスクを回避する特殊な設計や、しっかりした製作技術が必要とされるのだ。

ロボットシステム会社との連携によって、実験データを蓄積し、独自の設計方法を編み出している。

「暑いとか寒いとかきついとかは、ロボットは言わないですよね。だからこそきちんとケアする必要があります。熱くなってしまうとショートの恐れがあったり、動きを阻害して転倒する可能性もあります。ロボットメーカーのエンジニアの方から、仕様や注意点などをヒアリングし、設計していきます」(泉氏)

また、最先端素材と高度な縫製技術が必要とされるため、製作パートナーとしてシタテルを活用し、しっかりとしたものづくりをする日本製にこだわっている。人の体型とは違うため、立体縫製やそれぞれのロボットに合わせた縫製を、日本の縫製工場が手がける。

ロボットが人々の暮らしに寄り添う社会へ

そもそも衣服は、自分の個性や趣味嗜好、また社会的役割を暗黙知として示すという力を持っている。ことロボットとなると、年齢や男女などの概念さえないものも多く、コミュニケーションとしての衣服の重要性が際立つ。

「同じロボットでも全く違う役割を担っており、システムやAIによってパーソナライズされています。しかし、見かけは全部同じ顔をしている。だからこそ、人間以上に、衣服というコミュニケーションツールが重要になってきます。そういう意味で、ロボットアパレルは、これからの人口減少の時代に、未来の可能性を握るカギとも言える」(泉氏)

人手不足と言われる飲食店や介護の現場、また一人世帯や共働き世帯の見守りなど、ロボットが人とコミュニケーションを取るシーンは今後増えていく。「人間がロボットに指示する」という一方的なコミュニケーションではなく、双方向で連続的なコミュニケーションをしていく上で、「言葉」以上に語るのは見た目だ。

様々な服を着ているロボットを前に、人とロボットが親しみを持って関係性を築いていく未来が見えた。