これまでの“ホテル”という枠には収まらない、新しいかたちのホテルが渋谷に生まれた。そこは単に“宿泊する”というよりも、人が集い、社会とつながり、楽しみながら、社会をちょっと元気にする場所だ。そんなホテルは、TRUNKチームと様々なメーカーや作り手との「コ・クリエーション」の結集。究極までこだわり抜いたホテルづくりの裏側を追う。

楽しみながら社会をちょっと元気にする

TRUNK(HOTEL)が目指すのは、社会との接点としてのホテル。キャットストリートから少し坂を登ってまず見えてくるのは、大きなケヤキの木とひらけたテラスだ。カフェ・バーの併設されたラウンジは、ノマドワーカーが昼間に仕事をしたり、夜にはDJイベントが行われるなど、宿泊客に限らず様々な人が集うオープンなスペース。社会と繋がり、自分らしく等身大で、社会を少し元気にする、「ソーシャライジング」がこのホテルのコンセプトだ。

細部までこだわり抜くホテルづくり

そんなコンセプトを体現するように、ホテル至る所に驚くほどのこだわりが満載だ。建物、インテリアから、アメニティに至るまで、全てにこだわりが詰まっている。建物や内装には間伐材を使用したり、ハンガーや小物を廃材や端材からつくったり、安心安全で環境に配慮した原材料を使ったり。ほとんどが、TRUNKチームと「ソーシャライジング」を体現している企業との共同開発で、納得いくまでこだわってものづくりをしてきた。

sitateruも、日本の零細工場の余剰リソースを活用しているというところに賛同いただき、様々なアイテムを共同で開発。バスルームのウォールポケットは、デッドストックの撥水帆布で作ったもの。帆布の糸自体を特殊加工しており見事に水を弾くので、くるっと巻いてバスルームに持ち込めるポーチに変身する仕掛けも。

部屋や館内で着るためのローブは、ワッフル地のようなテキスタイルを使用した。生地の名前は偶然にも、「トランクニット」。深めのフードもついており、リラックスした時間にぴったりのやわらかい着心地だ。

同じトランクニットを使用したブランケットも制作。本皮のウォッシャブルレザーを使用して洗える仕様に。ひとつひとつのステッチの細かさにもこだわってタグを縫い付けた。

フットランナーは、限られた少数の工場でしか加工技術を持っていない「ニードルパンチ」という製法でコットンフェルト素材に針で文字を浮き出した。

ウォールポケットと同じ撥水帆布のデッドストック生地を使用したランドリーバッグは見た人からも「欲しい!」と好評だそう。こういったルームアメニティは入り口横に併設されたTRUNK(STORE)でも販売する。

様々な人とつくるストーリーのあるプロダクト

TRUNK(STORE)は、現代社会の過剰な利便性の象徴としての“コンビニエンスストア”へのアンチテーゼも込めて、こだわりのものを必要な分だけつくるグローサリーストア。そこには、地場の渋谷を中心とした様々な企業や団体とのコラボレーションアイテムがずらりと並ぶ。
「あえてホテル全体の雰囲気とは違ったミニマルな雰囲気にしました。それぞれのものの作り手やストーリーはしっかりキャプションやパッケージで伝えています。それは力を貸してもらった人への誠意だと思っているので」
こう話すのは、ストア全体のディレクションからプロダクトのデザインを手掛けるアートディレクターの山岡重信さん。今後も様々なアイテムを開発していくそう。sitateru製のトレーナーやポーチも販売予定だ。

渋谷から新しい時代のムーブメントを

「買うだけで誰かのためになる。普段の生活をするだけで無理なく貢献できる。このホテルを起点にそういう循環をつくることで、ホテルを作っているひとたちにも喜んでもらえるのは嬉しいですね」(山岡さん)
こだわり抜いたホテルで過ごすひとときは、豪華さや高級感だけとはまた違った、気持ちのよいラグジュアリーの体験となるだろう。そこで出会った新しい価値観を、日常のライフスタイルに持ち帰ってもらう。そうすることで、ここからムーブメントが波及していく。新しい時代のものづくりが、ライフスタイルが、ここから始まる。