ーえるちゃんは、カメラマンとして入って、ブランドを立ち上げるまでってどういう経緯だったんだっけ。

鎌田:あ、私が話してもいいですか(笑)。カメラマンとしてメチャカリの撮影をしていて、背中にリボンがついたTシャツの撮影をするときに、ウェブサイトの設定として、撮影は前だけでいいと。 でもえるちゃんは、後ろのリボンを撮影しないとただのTシャツじゃんって揉めて。担当の人が泣いたりして、結局偉い人が来て確かにえるさんの言う通りだからそう撮りましょうってなったんですよね(笑)

ーそんなことでさえも、柔軟性がなかったことだよね。

赤澤:そう、早く撮影終わらせたかったっていう気持ちもあったと思うし。とりあえず前だけ撮っといて下さい。いやいやいや、それでメチャカリってさどういう意味?メチャメチャ借りたくさせるんじゃないの?みたいなね。

 そんなこんなが社長の耳にも入っていたみたいで、「E hyphen world gallery」の中でモデルさんのコラボブランドを立ち上げるタイミングで、PRディレクターとして手伝ってほしいとなって。モデルさんの意思とブランドの橋渡しみたいな役割をしていました。そしたら、少しずつそのブランドも軌道に乗っていって。それで全然別で、ラフォーレ原宿の「earth music&ecology」の区画を新ブランドに入れ替えるという企画が進んでいたのですが、そのブランドを私のブランドにということで話が進行していって。

ーそんな急だったんだ。

鎌田:いまのえるちゃん見てる人は絶対そうは思わないですよね。やりたいことがあって切り開いてきたように見える。


赤澤:ほんとに、私ではないと思いますって、3回くらいお断りした。でもこんなこと誰でも経験できることじゃないからやってみようかなと。それで結果として「LEBECCA boutique」をやっているわけだけど、はじめは日雇いで手伝わせていただいてるカメラマンだよ?私は大学も中退しちゃったし。私の周りの人たちは、大学を出て、就活をしてる人ばかりで、ってことは、もっと考えることを繰り返しているはず。考えること、思考を続けることは私だから特別できることでは絶対ない。

服のことを語りたいし、語られたい

ーサステナビリティを日本で定着させていくにはどうしたらいいんだろう。

鎌田:なんか、量産して薄利多売でいくみたいなスタイル自体が実は日本的じゃないんだろうなって思っていて。そこから解体しないと、その仕組みのなかで、サステナブルっていうのは結構難しいのかなとは思う。

赤澤:たしかにその通りだね。最近ね、改めてファストファッションって、実際どうなんだろうって思ってお店に行ってみたんです。

鎌田:まじ怒ってましたよね。

赤澤:泣きながら帰ったもん、接客が怖すぎて。悔しかった。一概には言えないけど、スタッフの人3、4人皆が最悪の空気だったから、そのくらい疲れ切ってしまう環境なんじゃないかって思ったり。もし美しいものをたくさん並べてるお店だったら、あんなことしないだろうなって。ファストファッションっていうのは、こうやって携わっている人の心も疲弊してくるんじゃないかな。

ーそんなことがあったんだ。

赤澤:ファストファッションばっかり着ていたら、それ以上のものに出会うことがないから、これでなにが悪いんだろう?ってなると思う。「GU」でパジャマがめっちゃ売れてるって聞いて、私も買って着てみてるんだけど、いまのところなんともないと言うか特に大きな欠点がないの。ひとつのファッションの楽しみ方として、素敵なことではある。

鎌田:それに、そういう会社も、廃棄減らそうとか、素材変えようとか、工場の労働を考えようとかって変わってきているし。

赤澤:そう。でも、周りの人に「それどこの服?」って聞いた時、ちょっと申し訳なさそうに答える。ファストファッションだと。

鎌田:わかります!

赤澤:どんな服でも自信持って答えられることこそ、私はエシカルだと思ってるから。

鎌田:申し訳ない気持ちで服着るのとかって嫌ですよね。

赤澤:だからやっぱり、その服のことを、語りたいし、語られたい。好きなんだよね、私たちは。誇りを持って語っているその言葉とか、表情とか、それによって自分に沸き起こる感情が好きだから。エシカルをやらなきゃいけないとかでやってるわけじゃない。

なんとなくいいより、めっちゃいいと思うモノを選ぶ方が絶対幸福度が高い

ーみんな感情に鈍感になっちゃってるのかもね。二人は、自分の感情とか、嫌だなって思う気持ちに敏感だし、なんで嫌なんだろうとか、なんでいいって思うのかを掘り下げているけれど、そうやって考えられる人が少ない。

鎌田:なんとなく買ってて、なんとなくいい気がするようななモノに囲まれて生きるより、めっちゃいい!って思えるモノに囲まれてる方が、絶対日々の納得度と幸福度が高いから。

赤澤:そうなんだよね。結局、それっぽいもので溢れかえったクローゼットを見て自分が疲弊するし、それメルカリで全然売れないし、捨てんのも疲れるし。

鎌田:私も服の波に疲れてこうなったんだよね、たぶん。元々、モデルや販売員をやってた時に大量の服に囲まれて生きてたんで。

赤澤:私とありちゃんは、服だけじゃなくてパンとかお店とかでも、これめっちゃよくてね!みたいなやりとりがお互いに好きで。だからそういう人が周りにいれば、もっと楽しくなるだろうなって。いない人はイベントとかで見つけられたらいいなって。

鎌田:そういう意味で、えるちゃんは「赤組」(赤澤さんの服作りやブランドについて共有するオンラインコミュニティ)をやってるし、私は「Little Life Lab(リトル・ライフ・ラボ)」(鎌田さんが主宰するオンライン型の暮らしの実験室)をやってる。それぞれコミュニティがあって、そこで出会ってほしいですね。

赤澤:そう。まだエシカルって高いイメージがある。それには理由があるんだけど、安いものに埋もれてきた人たちとっては、到底手が出せないように感じてしまうよね。

鎌田:値段に対する価値観が揺らぎますよね、何が高くて、何が安いんだっていう。いいものは高いけどそれが適正価格だっていう感覚になってくると、値段とは?ってなってくる。

ー数字の絶対比較ではなくて、自分の主観でこれは妥当だな、高いなって判断できればいいのかもね。

鎌田:そう、自分の理解との一致度かな。もちろん手が出ないくらい高いものもあるけど。

ー二人の周りでは、そういうことに気づき始めている人も増えてそう。

赤澤:スタッフがものすごく変わったと思う。それで、そのスタッフたちからものを買うお客様も、もちろん変わっていくし。みんながそれぞれ考えていくから、ブランドを離れていく人もいるけれど、それって考えてくれた結果だから喜びを持って受け入れたい。

鎌田:だんだん服の話じゃなくなってきたね。生きる話に。

ーでもすごく大事なことだと思う。最後に、これからの話を聞かせて。

赤澤:実はいま、新しくブランドをつくりたいって思っています。私が納得できる方法でものづくりをしてみたいんだけど、いまのところLEBECCAで全てを実現するのは難しくて。私が心を動かされた技術を取り入れてみたい。

鎌田:私はコミュニティの「Little Life Lab」を頑張ります。さっき話していたように、実は近しい価値観を持っている人がいろんなところにいるから、そんな人たちが繋がって、それぞれの仕事とか、生活のなかで、出来ることからはじめられるような場に。仲間って重要だからね。