nendo : forms of movement (nendo)

佐藤オオキ率いるデザインオフィス「nendo」。東京とミラノにオフィスを構え、ミラノデザインウィークでは毎年展示を行い、高い評価と話題を集めている。今年はトルトーナエリアのスーパースタジオ内で「forms of movement」と題した個展を発表した。

世界中の企業とコラボレーションを行っている彼らだが、今回は日本企業が持つ技術や素材を用いて、それぞれ新たなコンセプトを持つ10の商品が展示された。入場口には長い列ができており、おそらく今年最も観客動員した展示ではないかと思われる盛況ぶり。

会場のファサードは黒い一枚布を貼って作られており、印刷でサインがあてられていた。中に入ると全面が真っ黒で薄暗い会場内を、手書きスケッチによるサインに案内され、10個の展示を順番に回っていく。

それぞれ、3Dプリンターでのプロトタイプが無数に展示され、細かい検証のあとが伺える。これほど大きい展示会場で個展を開くためのプロダクトとは思えないほど小さい製品と細やかなアイデア。様々な方法で嵌合するファスナー。白いせいか、骨格模型のようにも見える。普段よく使っているファスナーが、どこか違う。日常に小さな「!」を見出す「nendo」らしい展示。

落とす場所や方向でさまざまな時間の経過を告げる砂時計。パーティングラインがなく美しい塊。

https://fuorisalone.it/2018/it/eventi/321/Nendo-forms-of-movement

FICTIONALITY (YOY)

東京を拠点とし、国際的に活動を行うデザインスタジオYOY。写真は、真っ白いキャンバスに光の絵の具で描かれたような模様が浮かび上がる照明。点灯する前は真っ白い何も描かれていないようなキャンバスに見える。

http://www.superdesignshow.com/yoy/

Hidden Senses (SONY)

SONYのミラノデザインウィークへの出展は2010年以来8年ぶり。SONYは自社のデザイン室を持つが、会場にはそのスタッフが待機しており、その場で鑑賞者への解説とフィードバックを受け付けるなど、相当の力の入れようだ。

ソニーがデザインに並々ならぬこだわりがあることはよく知られるところだが、10年ぶりのミラノデザインウィークとあって訪れる来場者の期待と注目度が高まっているのを感じた。

写真は、目の前に立つ鑑賞者の影が映像に干渉して模様を作り出す作品。他にも音響やプロジェクターを活用した作品が並ぶ。静止画と言葉では挙動が伝わりづらいため、下記動画やソニーのウェブサイトをご覧いただきたい。

水の存在を水を使わずに感じることができる作品。ピッチャーの中には勿論水は入っていない。注ぐと水面がゆらめいてテーブルに屈折した光が写っているかのよう。音はピッチャー本体から手元に伝わり、音の振動が実にリアリティを持った水の実態を感じさせる。

著者個人的に、今回のミラノデザインウィークを通して、最も新鮮な驚きと感動を与えてくれた展示がこのソニーの展示であった。

過去多数のインタラクティブアートやインスタレーションを鑑賞してきたが、テクノロジーがここまで滑らかに、魔法のように挙動と溶け合っているのを体感したことはなかった。この展示は、遊び心で人々を魅了したことが評価されるミラノデザインアワード「ベストプレイフルネス」を受賞した。

https://www.sony.co.jp/SonyInfo/design/info/mdw2018/index.html?s_tc=sd_ev007md01_twtr

デザインとテクノロジーの関係が親密になる

デザインは、潜在・顕在問わず、ある課題に対して、現実的かつ効果的な解決策を提示することだということができる。

そのため、ミラノデザインウィークをテクノロジーやイノベーションという切り口で語ることはそもそも無粋なのであるが、企業側の課題設定によってはテクノロジーやイノベーションに切迫した意欲的な展示があるように思う。そのとき、デザインがこれまで以上にテクノロジーの輝きを増すための研磨剤の役割となってきているのだろう。

過去、テクノロジーの進化は、そのままイノベーションであった。テクノロジーの進化がイノベーションをもたらし多くの人を魅了したが、いまはどうだろうか。世界的な企業群を相手に、最先端の課題を解決するデザイナーたちの提示するものが、驚くほどに日常性を帯びている。

技術力を見せるという意図が消失し、もはや技術的側面を隠しているような気さえする。テクノロジーを制御するという意識的な行動が省略され、いざ人間の行為そのものに焦点が当てられるようになっているのではないだろうか。

その解を提示してみるというのがミラノデザインウィークにおけるデザイナーの役割であるのかもしれない。