2001年創業のレコード会社Rambling RECORDSは、サウンドトラックやラウンジミュージックをメインとした独自のセレクトでファンを増やしてきた。世界中にファンを持つパリ拠点のミュージシャン、FKJ(エフ・ケー・ジェー)などのアーティストも担当する。3年前に店舗用BGMアプリサービス“Rambling Player”を立ち上げた。これが今、アパレル企業を中心に大きな支持を集めているそうだ。

BGMサービス立ち上げのきっかけは、とある大手アパレル企業から「店舗に合わせて感度の高いBGMを打ち出したい」という相談を受けたことだった。同社はすぐさま店舗専用の選曲を作成、著作権や使用権などをクリアした状態でCD-Rを納品した。これをいたく気に入ったアパレル企業がBGMの全社的な依頼を決定した。

アナログなCD作成からスタートしたBGMサービスだったが、利用企業は徐々に伸びはじめた。選曲したCD-Rには契約上の使用期限があるため、返信用封筒をつけて利用後に返送してもらう必要があったが、これでは人的工数がかかりすぎる。当時ちょうどストリーミング・サービスが普及しはじめたタイミングで、運よくデジタル化の開発を進めていた他業種企業とのつながりもあり、スマートフォンだけでBGMの利用ができるアプリサービスへと舵を切ったという流れだ。

現在の“Rambling Player”は、デバイスにアプリをダウンロードし、法人契約時に与えられるシリアルナンバーを打ち込むだけで、BGMを自由に使用できる。STRASBURGOやMACKINTOSH、TOMMORROW LAND、IENAといったアパレル企業からTHE CONRAN SHOP、二子玉川蔦屋家電など、感度の高いショップを中心に、ここ3年で利用者を大きく伸ばした。

“Rambling Player”最大の特徴は“世界観で訴求する”という点だ。既存の業務用音楽配信サービスでは、「ヒットチャートに登場する曲や、典型的なボサノバアレンジ等、どこかで聴いたことのあるような音楽が多い」「ローテーションが短くて飽きる」などの課題を顧客から聞いていた。

“Rambling Player”は、世界中の音楽に精通した感度の高いキュレーターがNon Stop Mixで届ける内容や、既存チャンネルから選ぶ場合も、独自のセレクトで毎月更新されるため、店舗をハイセンスな空間にしたいという願いを叶えることが可能。店舗ブランディングにおいてBGMにこだわることも必要だという理念が、まさにアパレル企業に刺さったのだ。

もう一つは圧倒的な個別対応能力だ。レコード会社としてアーティストを起用したイベントなどの知見があることから、BGMに使用しているアーティストをファッションブランドのインストアイベントに招聘するなど、単なるBGM配信にとどまらないブランディングやプロモーションを提案する。

最近では、ザ・プリンスホテルパークタワー東京などをはじめとする首都圏を中心としたプリンスホテルへのBGM導入を積極的に進めている。イベントスペースのあるホテル業界は同社でも特にBGMの利用が伸びている分野という。

他にも、ジャケットデザインを用いたファッションアイテムを作って販売したり、関連のある映画の映像を活用したりするなど、幅の広い提案を行っている。

ファッション業界ではECでの購入率が高まるにしたがって、顧客との直接的なコミュニケーションを可能にするリアル店舗の意味が大きく変わりはじめた。

世界観を表現するために内装同様にBGMにこだわることや、定期的にイベントを開催することは、店舗の新たな可能性を探る意味でも重要なことだ。顧客は、単に服を買うために店に行くわけではなく、店舗での空間・時間を体験し、無意識下で心地よさや新しい発見を求めている。

目立たずとも大きなポテンシャルを持つBGMという存在から静かに革命を起こしつつあるRambling RECORDSは、今後ファッション業界でも注目すべき企業と言えるだろう。

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