顧客様は年齢もライフスタイルもバラバラ。共通するのは、世界観への共感だけ

唯一無二の服をつくり、独自の世界観を貫き通すUN3D.。トレンドに迎合しない強気な姿勢に共感する“濃いファン”には、どのような特徴があるのだろうか。

「UN3D.は、本当に幅広い層のお客様に支持していただいています。働いている方もいれば、主婦の方もいますし、旗艦店である青山店や百貨店には50~60代のお客様が来店されることもある。一方で、若い世代の方が地方からわざわざお店に遊びにきてくださることもありますね。年齢やライフスタイルもバラバラですが、みなさんに共通しているのは『UN3D.のテイストが好き』ということなんです」

一般的なマーケティング理論として「ブランドを成長させるためには、絶対数の多い層を強化すること」が必要不可欠だと言われている。しかし年齢やライフスタイルといった属性で、顧客を区切ることのできないUN3D.には、その理論は通用しない。

「私自身、年齢を意識した服づくりは行っていませんし、ブランドの個性を強めることを常に意識しています。結果として、そこに共感してくれる人が集まってくださっているので、今後もこのスタンスは貫いていこうと思います」

ファッション業界では、売り上げをつくるためにトレンドを意識した服や、万人受けするベーシックアイテムが投入されることが多くある。そうした風潮に“UN STANDARD”な姿勢をとるUN3D.は周囲の予想を裏切り、意外な場所での売り上げを伸ばしている。「高価格帯の商品は売れない」と言われている自社ECサイト『RUNWAY channel』経由の売り上げが、好調なのだ。

「UN3D.の価格帯は、RUNWAY channelで取り扱いのある他ブランドよりも3~4倍です。だから当初、会社の上層部から『ECサイトを利用する人の多くは若い世代だから、高価格帯の商品を買う人は少ないだろう』と言われていたんですよね。でも、実際にはEC経由での売り上げは順調に伸びています。40代以上の方も、普通にECを利用して購入してくださっていて。昔よりもECサイトのサービスが手厚くなっていることも理由のひとつだとは思うのですが、3万円以上の服でもECで買うことに抵抗がない方が増えていると感じます」

トレンドは追わない。自分のセンスを信じ、個性を貫き通す

ブランド立ち上げから3年。UN3D.は、根強いファンからの支持を受け、愛され続けている。その理由は「トレンドを追わずに個性を貫く」といった確固たるスタンスだけではない。ファンとのコミュニケーションをまめに行なうことで信頼を高めているのだ。

「かつては、雑誌の紙面上で自分のブランドのPRをしていましたが、今はデジタルの時代。基本的に新作やコーディネートは、Instagramで紹介しています。ですから、コメントやDMを通じて、お客様の声を直接聞く機会が増えました。質問を頂いたら極力返信をするようにしていますし、その方のアカウントを覗いて『顧客調査』のようなことをすることもあるんです」

一方通行での情報発信しかできなかった雑誌と違い、SNSは双方向のコミュケーションができる。お客さんとの距離が近くなったことで、リアルな意見を商品開発に投影する機会も増えたと、荻原さんは言う。

「新しいシーズンの立ち上げ時期には、Instagramのライブ動画機能を使ってPRE ORDERアイテムを紹介しています。配信中、お客様から『その素材は透けますか?』『肩紐は調節できますか?』『脇が見えますか?』など、気になる点を質問されることが多いんです。そういう細かい意見は、商品開発の参考にしています」

トレンドを追わず、個性を大事にするーーUN3D.のスタンスは、荻原さん自身のスタンスでもある。突出したセンスを持ち、独自の世界観を貫く彼女だが、15万人以上ものフォロワーを持つ自身のInstagram上には、飾らない姿を写した写真が投稿されることも多い。

「以前は『大人の方にアプローチしたいから、若見えしないようにしよう』と意識していたのですが、2年前に出産してからは『自然体』を意識しています。あまりつくりこんだ姿ではなく、リアルな姿を発信していこうと思っていて。とはいえ、UN3D.のイメージや世界観は絶対ぶらさないようにしています。トレンドには敢えて目を向けず、自分のセンスを信じ続けないと、長く愛されるブランドにはなれないので」

“強いデザイン”は海外で戦うため。グローバルに愛されるブランドを目指す

「『売れなさそう』と言われた服が売れると、すごい嬉しいんです」

王道を無視し、個性を貫くことで、UN3D.は思惑通り“濃いファン”を集めることに成功した。周囲の予想を良い意味で裏切った荻原さんは取材の最後、悪戯そうに笑いながら、次なる野望を語ってくれた。

「UN3D.立ち上げ当初から、海外展開を視野に入れています。でも、海外に卸すのは簡単なことじゃない。関税や送料を考えると、日本と同じ価格で販売することが難しいんです。だから、同じような課題を抱えるブランドの服を、まとめて一括で卸すことでコストを最小限に抑えられるような仕組みができたら嬉しいですね。デザインを強めているのは、海外で戦うためでもあるんですよ。UN3D.をグローバルに愛されるブランドに成長させていきたいんです」